Friday, September 24, 2010

◇年金不正受給事件の経過◇

<1969年>

8月   加藤さんの老齢福祉年金支給開始

<1978年>

秋   加藤さんが自室にこもる。11月5日付朝刊が部屋から見つかる。この時期に死亡か

<2004年>

8月   加藤さんの妻が101歳で死亡

10月   老齢福祉年金から妻の遺族共済年金に切り替えられ、加藤さん名義の口座に年金支給

<2010年>

1月   民生委員が出席した住民の意見交換会で「数十年、加藤さんを見ていない」と話題になる

2月   民生委員が自宅を訪問。家族は「岐阜にいる」と答える

6月   足立区が千住署に「本当に生きているのか確認できない」と相談

7月26日 区職員と署員が訪問。真子、登貴美両容疑者が面会を拒絶

  28日 登貴美容疑者が署を訪ね「3月に部屋を見たら白骨化した祖父が見えた」と説明。遺体発見

8月27日 両容疑者を詐欺容疑で逮捕

◇「生活の糧だった」大田区で年金不正受給息子

大田区のケースでは、生きていれば104歳になる三石菊江さんとみられる白骨化遺体が、無職の息子(64)の部屋から見つかった。三石さんと息子は文京区で暮らしていたが、01年6月に三石さんが死亡後、借地代が払えなくなり、息子は04年5月に大田区に引っ越した。この間、息子は計約120万円の年金を受け取っていた。

 息子は日舞の師範で生計を立てていたが、三石さんが死亡した当時の収入は月数万円だったという。今は家賃3万円の古びた狭いアパートで暮らす。警視庁蒲田署に「悪いとは思っていたが年金を受け取った。生活の糧だった」と不正受給を認めている。加藤さんの事件を受けて12日に区職員が訪問した際には「母は新潟にいる」などと偽ったが、「いつかはばれるだろうと思っていた」という。

 蒲田署によると、息子の日記には「薬代がかかるので大丈夫と言われた」と、三石さんが財政的な理由から病院に行くのを嫌がったことをうかがわせる記述もあったという。

 三重県のケースでは、80歳の母親に食事を与えず死亡させたとして、県警は12日、熊野市の無職、桐本行宏容疑者(56)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。親族から「1年以上姿を見ていない」と市に相談があり、警官が母親の自室から一部白骨化した遺体を発見した。桐本容疑者は周辺に「入院している」「奈良の施設にいる」などとうそを言い、母親の死を隠していた。

 桐本容疑者は調べに「面倒をみるのが大変になった。年金を受け取るため、死んだことを届けなかった」と供述しているという。【川崎桂吾、大野友嘉子】

修理業の孫の男性

当時は「良い家庭」と感じていたが、約30年前に地元に戻り見かけた真子容疑者からかつてのイメージは消えていた。この前後に加藤さんは死亡したとみられる。女性は「何がきっかけで一家が変わってしまったのか知りたい。年金を不正にもらっていたのなら逮捕は仕方ない」と話す。

 現在は庭木がうっそうと茂り、高さ約2メートルのコンクリート塀に囲まれた加藤家。近所付き合いはほとんどなく、住民らは「町内会の集まりに顔を出したこともないし、道で会っても目を伏せるだけだった」「人を寄せ付けない雰囲気があった」と口をそろえる。60代の女性は「いつも雨戸が閉まっていて変だと思っていたが、やましさがあって他人の目が怖かったのかもしれない」と話した。

 一家の家計を支えるのはコンピューターの修理業の孫の男性(49)と、シルバー人材センターに登録し最近まで駅前の自転車整理をしていた真子容疑者の夫(83)の収入だけで、家族4人が細々と暮らしていたとみられる。詐取した年金の一部は株取引などにも使われたとみられるが、捜査幹部によると「つつましく暮らしていたようだ。豪華な物を買ったとか、遊んで使ったという話は一切ない」という。

伊澤拓也

 全国で相次いで明るみに出た高齢者の所在不明問題。その発端となった東京都足立区の加藤宗現さんの遺体発見は、家族2人が詐欺容疑で逮捕される事態に発展した。かつて近所の住民から「良い家庭」と呼ばれた加藤家。現在は雨戸を閉め切った2階建て住宅に中高年の4人が質素に暮らす。子が親の死を隠し、年金を受給し続けたケースは大田区や三重県でも発覚。共通するのは遺族が年金で糊口(ここう)をしのいでいた実態だ。【山田奈緒、伊澤拓也】

 1899(明治32)年に岐阜県池田町で16代続く寺の次男として生まれた加藤さんは、1927(昭和2)年に中央大法学科を卒業。戦後間もない47年にJR北千住駅近くの閑静な住宅街に居を構えた。旧本所区(現墨田区)役所勤務を経て自営業をしていた時期もあるという。

 加藤さんの妻は小学校で裁縫を教えていた。その影響か長女真子容疑者(81)も洋裁が得意だった。近所の70代の女性は約60年前に真子容疑者にワンピースやスカートを作ってもらった。「優しいお姉さん」というイメージだった。加藤家は庭木がよく手入れされ、放し飼いの犬がいたのを覚えている。

熊野・母親遺棄:年金詐取容疑で逮捕状 起訴の56歳次男

三重県熊野市で8月、一部白骨化した女性の遺体が発見された事件で、県警捜査1課と熊野署は、女性の次男で無職の桐本行宏被告(56)=保護責任者遺棄と死体遺棄の罪で起訴=が母親の死亡を届けず年金をだまし取った疑いが強まったとして詐欺容疑で逮捕状を取った。一両日中にも再逮捕する。捜査関係者への取材で分かった。

 同課などによると、桐本被告は09年2月に母の千代さん(当時80歳)の死亡を確認してから今年8月までの間、千代さんの年金約120万円をだまし取った疑いが持たれている。調べに「母の面倒を見るのが大変になった。年金を受け取るため届を出さなかった」と話しているという。

 同課などは、司法解剖でも千代さんの死因や死亡時期を特定できなかったが、桐本被告の供述や電気、ガス料金が減ったことなどから、少なくとも09年2月以降、千代さんの年金をだまし取ったと特定した。

 桐本被告は定職がなく、年金を生活費などに充てていたとみている。【大野友嘉子、谷口拓未】

詐欺容疑:先物取引元社長ら逮捕へ 岩手県警

海外商品先物オプション取引名目で顧客から集めた資金の大半を詐取したとして、岩手県警は近く、破産手続き中の取引受託業者「トレイダーズ・エクストリム・カンパニー」(東京都品川区)の元社長(44)や元社員ら十数人を詐欺容疑で逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。被害者は全国で約400人、被害総額は二十数億円に上るとみられ、一部の被害者はト社を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こしている。

 捜査関係者によると、元社長らは07年8月~08年7月ごろ、現在の価格で将来海外市場の商品(原油や金など)を売り買いする権利を扱う「海外商品先物オプション取引」の投資資金として、岩手県北上市の70代女性から預かった約2000万円をだまし取ったなどの疑いがある。

 ト社は06年4月に設立。東北地方を中心に盛岡市や仙台市に支店を置き、電話や自宅訪問で主に高齢者を勧誘していた。捜査関係者によると、集めた二十数億円のうち実際に投資されたのは1割未満で、資金の大半を高額な役員報酬など会社の運営資金に充てていたとみられる。ト社の決算報告書によると、元役員5人の役員報酬は07、08年度で計約2億400万円に上った。

 経済産業省によると、ト社の営業担当者は取引に必要な手数料が7万円なのに「8000円になります」などとうそをついて勧誘し、客から「やめたいので返してください」と返金を求められても応じていなかった。【宮崎隆、安藤いく子】

大リーグ:イチロー10年連続200安打を達成

【トロント小坂大】米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手(36)=本名・鈴木一朗=が23日、当地のロジャーズ・センターで行われたブルージェイズ戦で、自己の持つ大リーグ記録を更新する10年連続200安打を達成した。また、通算回数でもピート・ローズ(元レッズなど)の持つ10回に並んだ。

 200安打に残り2本としていたイチローは、三回の第2打席で左翼線二塁打、五回の第3打席で中前打を放ち、今季152試合目で大台に乗せた。

 イチローは2001年にオリックスからポスティングシステム(入札制度)でマリナーズに移籍。04年には262安打をマークし、大リーグのシーズン最多安打記録を84年ぶりに更新した。昨年4月16日には日米通算安打数を3086本とし、張本勲氏(元ロッテなど)の持つ日本選手最多安打記録を更新。同年9月6日に日本選手として初の大リーグ通算2000安打に到達し、今月18日には日米通算3500安打も記録している。