Friday, September 24, 2010

伊澤拓也

 全国で相次いで明るみに出た高齢者の所在不明問題。その発端となった東京都足立区の加藤宗現さんの遺体発見は、家族2人が詐欺容疑で逮捕される事態に発展した。かつて近所の住民から「良い家庭」と呼ばれた加藤家。現在は雨戸を閉め切った2階建て住宅に中高年の4人が質素に暮らす。子が親の死を隠し、年金を受給し続けたケースは大田区や三重県でも発覚。共通するのは遺族が年金で糊口(ここう)をしのいでいた実態だ。【山田奈緒、伊澤拓也】

 1899(明治32)年に岐阜県池田町で16代続く寺の次男として生まれた加藤さんは、1927(昭和2)年に中央大法学科を卒業。戦後間もない47年にJR北千住駅近くの閑静な住宅街に居を構えた。旧本所区(現墨田区)役所勤務を経て自営業をしていた時期もあるという。

 加藤さんの妻は小学校で裁縫を教えていた。その影響か長女真子容疑者(81)も洋裁が得意だった。近所の70代の女性は約60年前に真子容疑者にワンピースやスカートを作ってもらった。「優しいお姉さん」というイメージだった。加藤家は庭木がよく手入れされ、放し飼いの犬がいたのを覚えている。

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