Friday, September 24, 2010

与党内からも批判「法秩序じゅうりん」

那覇地検が中国人船長の釈放を決めたことに対し与野党双方から批判の声が上がった。自民党の谷垣禎一総裁は「中国の圧力に屈した印象はよくない。検察が政治的判断を加えてやることで間違ったメッセージになる。政府が責任を持って説明しなければいけない」と指摘、臨時国会でも追及する方針だ。

 仙谷由人官房長官はこれまで「国内法に基づいて粛々と手続きを進める」と強調してきた。唐突な釈放決定だけに与党の民主党内からでさえ「裁判なしに処分保留は筋がおかしい」(山口壮政調副会長)など公然と政府批判が噴出した。

 逮捕時に外相だった岡田克也幹事長も「検察の判断が尊重されなければならない」としたうえで「中国から言われたから判断を曲げたように理解されるとしたら、国益を損なう」と十分な説明を政府に求めた。松原仁衆院議員ら5議員は「法秩序をじゅうりんするもので容認できない。検察当局に釈放の決定の撤回を求める」との抗議文を発表した。

 自民党の石破茂政調会長は「法にのっとって粛々(と処理する)という発言との整合を(政府は)どのように考えるのか」と批判。安倍晋三元首相は「中国の圧力に政府が屈したのは明らかだ。言外に政府から配慮せよという圧力があったと思う」と踏み込んだ。

 たちあがれ日本の平沼赳夫代表も記者会見で「今回の措置は遺憾だ。船長を釈放したら、(尖閣諸島への)中国の領有権を日本が認めることにつながりかねない」と懸念を表明した。

 ただ、公明党の山口那津男代表は「日中の外交関係をこれ以上こじらせることはだれも望んでいない。法的な主張をぶつけ合うより、政治的な解決をしていく場面に転じた」と述べ、検察の判断に一定の理解を示した。【中田卓二、影山哲也】

毎日新聞 2010年9月24日 20時47分(最終更新 9月24日 23時54分)

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